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今国会でこれまで親しまれていた「体育の日」の名称が、2020年から「スポーツの日」に変更されることが決まりました。

2020年といえば、東京五輪の年です。今国会では、この年に限って「スポーツの日」をオリンピックの開会式である7月24日(金)に移すことも特措法で決められました。さらに「海の日」も五輪開会式前日の7月23日(木)に移ります。これで開会式の前後が土日を入れて4連休になることになりました。さらに閉会式である8月9日(日)の翌日10日(月)に「山の日」を移すことで、閉会式を挟んだ3日間も連休になることとなりました。

東京五輪は特別の機会ですし、世界各国から選手や首脳たちも数多く来日されますので、警備や輸送交通も円滑化を図らなくてはなりません。また多くの日本国民も、オリンピックを会場で、あるいはテレビなどで、じっくりと楽しみたいはず。その意味では、「国民の祝日」の日程をずらすことは、一つのうまいやり方だと思います。しかし、このような特別な場合を除いて、私は本来、軽々に「国民の祝日」の日程をずらすことは望ましくないと思います。たとえば「体育の日」が毎年10月10日であれば、「1964年の東京五輪の開会式だった」とわかりますが、「10月の第2月曜日」では、だんだん何の日だったか、わからなくなってしまいます。

世界の国々を見渡してみると、たいていの国の「祝日」は、革命記念日や偉人の記念日など、「歴史に根ざした」ものがほとんどです。

実は日本の祝日も、皇室の行事に由来するものが数多くあります。

1月1日の「元日」は、天皇陛下が早朝に日本国民のために祈る「四方拝」という祭祀が行なわれる日。2月11日の「建国記念の日」は、神武天皇が紀元前660年に即位された日。3月21日頃の「春分の日」はご先祖様をお祀りする日で、宮中では「春季皇霊祭」として、歴代の天皇や皇族を祀る祭祀が行なわれます。4月29日の「昭和の日」は昭和天皇のお誕生日。もともと「海の日」だった7月20日は、明治天皇が東北巡幸の帰路、汽船に乗船され海路で横浜港に御安着された日。9月23日頃の「秋分の日」も、皇室の祖先を敬い感謝する「秋季皇霊祭」。11月23日の「勤労感謝の日」は、天皇陛下が新穀米を神々にお供えし収穫の恵みに感謝する「新嘗祭」。そして12月23日の「天皇誕生日」は、今上陛下の御誕生を祝う日です。

しかし、このような由来は、現在の日本では忘れられがちです。それは戦後、占領軍をはばかって、「祝日」の名前から皇室色を消し去ってしまったことが影響しています。日本の歴史と文化を守っていこうとするとき、この経緯をしっかり踏まえていく必要があります。

とりわけ、これから考えるべきは11月3日の「文化の日」です。11月3日は、実はもともと明治天皇のお誕生日で、戦前は「明治節」といわれる祝日でした。この日が「文化の日」になったのは、この日に日本国憲法が公布されたからだといわれます。しかし、憲法記念日はこの日ではなく、日本国憲法が施行された5月3日となりましたので、宙に浮いた感が否めないと思います。

今年4月に、自民党の国会議員を中心に、「明治の日」の制定をめざす議員連盟が、90名以上の賛同をもって発足しました。今年は明治維新150年という節目でもあります。日本が近代国家として大きく羽ばたいた明治という時代に思いをはせ、先人たちの努力に感謝するために、私はぜひ11月3日を「明治の日」とするべきだと考えます。昭和天皇のお誕生日が「昭和の日」になったのですから、明治天皇のお誕生日が「明治の日」になるのは、何らおかしくありません。

沖縄でも、明治天皇の銅像が波上宮にあります。これは本土復帰の2年前、明治百年の1968年(昭和43年)に建立されたもので、明治天皇が揮毫(きごう)された「国家」という文字が台座部分に刻まれています。沖縄の本土復帰を願う人々によってつくられたものであり、そのような歴史からしても、「明治の日」は沖縄にとっても大きな意味を持つ祝日になるのではないでしょうか。

では「文化の日」はどうするか。実は11月1日は現在、「古典の日」と法制化されています。これは『紫式部日記』の寛弘5年(1008年)11月1日の記述に『源氏物語』にまつわるエピソードが描かれていることから制定されたもので、私はこの日こそ「文化の日」にふさわしいと考えます。

「明治の日」制定は、多くの国民と与野党国会議員の賛同がなければ実現できません。しかし歴史と伝統に則った本来の祝日の意義を取り戻すことが、国民全体の調和を高めていくことにつながり、住みやすい国づくりの一助になるのだと思います。